2007年11月8日


場所

どこかの教室

人物

清掃員の花岡

状況

花岡が清掃をしている

本文

花岡は机をみがいていた。長方形の机が縦横に並び、そのうちのいくつかには人が座っていた。この部屋の前面に取り付けられた時計は七時を差していた。カーテンの隙間から見える外の景色は暗かった。

花岡の仕事は大学の構内における清掃だった。彼は時間になるとモップとモップ専用のバケツを持って用務員室を出る。部屋を出るときには、彼は他の仲間達と一緒だ。しかし、担当になっている教室が異なるので、一分もすれば彼は一人になる。目の前には教室、拭くべき机や黒板が彼を待っていた。

花岡はかれこれ十年近くこの仕事に就いていた。だから、この十年間の変化を知っている。また、机に書いてある他愛のない落書きや、教員が連ねる数式や文章を少し覚えている。花岡の見解は、彼らはどうしてか毎年同じようなものを書く。落書きにしても、数式にしても。花岡にはそれらの区別が付いていないだけかも知れないが。

花岡は机を磨き終わった。鉛筆で書かれた落書きは意外と簡単に落ちるものだ。次は黒板だ。花岡はモップをモップ専用のバケツに入れ、要領よく汚れを落とすとペダルを踏んで水を絞った。

黒板は花岡の好きな清掃対象だった。子供の頃は黒板は水で掃除してはいけないと言われていたが、実際は違った。違ったというかなんというか。水で掃除をしてもさして黒板の品質が落ちるわけではないし、すぐに乾く。昼休み中に