2007年11月9日


場所

なし

人物

石と神様

状況

願い事が叶う

本文

それは道に転がっていた。それは小さな命でも、小さな勇気などでもない。それはただの石ころだった。それは為す術もなくそこに転がり、蹴られ、沈められ、地上に戻ってはまた蹴られていた。

それは考えていた。何か自分に出来ることはないのか。今まで何もせずに、そして何も感じずに『生きてきた』自分に、何か出来ることはないのかと。

それは考え続けた。蹴られても流されても考え続けた。そして一つの結論に至った。それは、念じ続けることだった。

それは念じ続けた。砕けても削られても念じ続けた。ある日、それが念じ疲れて目をつむると、瞼の裏になにやら神々しい光があふれていた。それが目を凝らしてよーく見てみると、なんと神様が夢に現れてきていた。

「ほっほ、おんしの願いを一つだけかなえてやろう」

それは感極まった。

「あ、あ……あなたは本当に神様なんですか?」

「そうじゃ、神じゃ。でもな小石、おまいさんはそんな願いで良かったんかい?」

「えっ?!」

残念なことに、それの望みはあえなく立ち消えてしまった。