■場所
なし
■人物
石と神様
■状況
願い事が叶う
■本文
それは道に転がっていた。それは小さな命でも、小さな勇気などでもない。それはただの石ころだった。それは為す術もなくそこに転がり、蹴られ、沈められ、地上に戻ってはまた蹴られていた。
それは考えていた。何か自分に出来ることはないのか。今まで何もせずに、そして何も感じずに『生きてきた』自分に、何か出来ることはないのかと。
それは考え続けた。蹴られても流されても考え続けた。そして一つの結論に至った。それは、念じ続けることだった。
それは念じ続けた。砕けても削られても念じ続けた。ある日、それが念じ疲れて目をつむると、瞼の裏になにやら神々しい光があふれていた。それが目を凝らしてよーく見てみると、なんと神様が夢に現れてきていた。
「ほっほ、おんしの願いを一つだけかなえてやろう」
それは感極まった。
「あ、あ……あなたは本当に神様なんですか?」
「そうじゃ、神じゃ。でもな小石、おまいさんはそんな願いで良かったんかい?」
「えっ?!」
残念なことに、それの望みはあえなく立ち消えてしまった。