2007年11月16日


場所

なし

人物

僕と彼

状況

彼の爆弾発言が気になる

本文

彼は、自分は宇宙人だと言った。それはつまり、彼が僕たちのような若しくは僕が思っているような僕たちのような存在ではないことを表していた。そして、僕はそれを聞いた瞬間に思った。彼が彼の言うとおりの宇宙人だとしたら、彼はいったいどのような目的でこの地上にいるのだろうかと。

しかし、彼が宇宙人だと言った後も僕の生活に変わりはなかった。朝は二人分の弁当を作り、眠っている彼を家まで起こしにいき、適当な朝御飯をつくろって彼の口に押し込み、彼の操る自転車の荷台に乗って駅まで通う。そして電車の三両目に乗り込み、前から二番目のドア付近でおしゃべりをする。

それから先は日によって色々で、みんなの目を避けるために別れるか、学校まで遠回りの道を行くことが多い。でも、たまにコンビニに立ち寄ることもあるし、遅刻しそうなときには二人して通学路を走ることもある。

そういう行動のどれもが、驚くべき事にこれまでとまるで変わることなく進行していった。気付いたら彼の爆弾発言からすでに一ヶ月が経っていた。

僕は、これまで続いてきた自分の生活を壊したくなかった。彼との関係を壊したくもなかった。でも、彼の発言をどうにかしなければいけないと、漠然と思っていた。だって、彼がもし宇宙人ならば僕は彼といつか別れなければならない。それはきっと唐突に訪れ、どんな有無も言わせないくらい強烈な強制力を持っているに違いない。

そんなのは嫌だ。もしわかれるにしても、僕はきちんとお別れをしたい。別れの時に彼に言う言葉は決めている。それを伝えて初めて、僕は彼とお別れが出来るのだ。

宇宙人について彼に正面から問いただせたのは爆弾発言から二ヶ月が経過した後だった。

「あれ、信じてくれていたの? ……ごめん、あれは嘘なんだ。」

予想だにしない言葉が脳天を揺るがした。

「あ、でも、そういうこと信じてくれるトウコってすんごくかわいいね」

そんなことを言いつつ、彼は僕の頭を抱きしめた。

「ごめんね……、もうあんな事は言わないから」

僕は抗議のうめき声を上げた。彼の胸に顔が押しつけられて苦しい。

「……怒ってる?」