■場所
公園
■人物
『俺』と犬の散歩をしている人と散歩されている犬、他
■状況
何か悲しいことでもあったのでしょうか?
■本文
何も無い空を見上げていた。風が吹いて足下の木の葉が飛ばされてゆく。遠くでは子供達が声を上げて追いかけっこをしている。
感慨に浸っているわけではない。やる気がないだけだ。すべての物から逃げたくて、わけもなく散歩に来ているだけなのだ。
俺は首を振って、どうにか意識を現実に引き戻す。空の向こう側には何も無い。俺が逃げられる場所など存在しない。だから、さっさと散歩を終わらせて家に帰ろう。
しかし、足は動いてくれない。俺の隣を、犬を連れた人が訝しげな顔をして通り過ぎる。俺は犬畜生にすら劣るらしい。俺はどうして前に進みたくないのか、顔を殴ってどうにか聞き出せられれば楽なのにと思った。
でも、俺は何も出来ずにいる。さっき通り過ぎていった犬が振りかえってこっちを見る。その目は何を訴えているのか。いや違う。その目は何を伝えてくれているのか。俺は見極めたかったが出来なかった。
風が吹いて木の葉が散らばる。俺はまだ動けずにいる。さっきからずっと動こうとしているのに、足はやっぱり動いてくれない。遠くで遊んでいた子供達はもうどこかへ行ってしまった。変化の無かった空には、どこからか雲が漂ってきた。天気が悪くなるのだろうか。
また、犬を連れた人が俺の隣を通り過ぎる。今度は俺の事など無視しているのか、人も犬も正面に顔を向けたまま歩いている。