2007年11月25日


場所

電車の中

人物

栄介と猫

状況

猫が電車に乗っている!?

本文

太陽が高く昇り、乗客の一番少ない時間帯。夜遅くまで宿題をやっていたせいで寝坊をした栄介は、惚けた顔で電車に乗っていた。最初は見間違えかと思って目をこすっていたが、何度こすってもいなくならないので触ってみた。それは首をもたげて気持ちよさそうに寝ころんだ。

栄介の隣に座っているのは猫だった。

周りの乗客も栄介の隣の猫を見ている。お母さんに連れられた子供などは手を伸ばし、かわいいだのなんだの言っている。栄介は猫が好きだったので、しばらく触っていた。

一通り触った後で手を離すと、猫は栄介の方によってきた。こうなると猫を離すのは難しい。しかも、電車の中である。栄介は一時の惚けにうつつをぬかした自分に後悔するが、仕方がないと思い諦め、猫の相手をしてやることにした。

十分ほど経って、栄介の降車駅が近づいてきた。さすがに猫から離れなければと思い、栄介は座席から立ち上がって別の車両へ移動しようと思った。

そこで猫が鳴き声をあげた。それがあまりにも悲しそうに車内に響くので、栄介は足を止めようか一瞬悩んだ。しかし、いくら朝寝坊をしたからといって、学校に行かないわけにもいかない。それに、電車に乗っている位だから猫にも目的地があるに違いない。

適当に結論付けた栄介は車両間にある金属のドアを開けて、隣の車両に移った。猫が付いて来ていないことを確認して、そのドアを閉じる。これで猫が栄介に付いてくる心配も無くなり、栄介が猫を気にする事もなくなった。

はずだった。

また座席に座った栄介は、電車が次の駅に停車した時、開いたドアから先ほどの猫が入ってくるのを見て、仰天した。何事もなかったかのように、猫は栄介の膝の上にのっかって寝ころぶ。どうすればよいのか分からない栄介は、また為す術もなく猫を撫でる。

一分くらい経って、栄介は我に返った。