■場所
薄暗い高架下
■人物
男が二人
■状況
殴り合いをしているが、一方的
■本文
それは、殴り合いの喧嘩だった。バイパスの高架下、電柱に取り付けられた頼りないライトに照らされている二人。
疲弊した表情で、一方の男が拳を振り上げて襲いかかる。その大振りの攻撃はしかし当たらない。避けたもう片方の男は、かかってきた男がバランスを崩したのを見逃さずに足払いをする。
よろけた男は足払いをもろに食らう。体が空に浮かび、勢いを殺すことも出来ないまま、地面にたたきつけられた。どうにか顔は腕でかばったものの、どこに敵がいるのかまるで把握できない。
足払いをかけた男は、地面につくばっている敵の尻に蹴りを入れた。それは、手加減のないものだった。地面の男は横に転がり、ようやく敵の居場所を把握したようによろよろと起きあがる。
喧嘩の優劣はあまりにも明白だった。蹴りを入れられた男は顔に痣が出来、左の肘を右手で押さえていた。対する男は、目立った傷もなく、敵に憐憫のまなざしを向けていた。
「……そろそろ、諦めたらどうだ?」
辺りに声が響いた。コンクリートに反射する音は耳に残り、二人はしばらく何も言わずに対峙していた。
「へ、やなこった。てめぇに一発食らわせるまで俺は諦めないぜ!」
再び場が動き出した。