■場所
友達のアパート
■人物
松井と光村
■状況
初めて友達の部屋に入るとき
■本文
「おじゃましまーす」
松井はそう言ってドアを開けた。目に飛び込んできた物で判断する限りは、アパートよりもマンションという言葉が似合いそうな造りだった。
やけに狭い靴置き場に自分の靴を脱ぎ、短い廊下を進むとすぐにリビングだった。
「ほぁー、なんか天井が高いね」
松井はパソコンの前に座っていた光村に話しかけた。
「うん、二階建てなんだけどね。結構天井が薄いみたい」
適当に座るように光村が促すと、松井はテーブルの椅子に腰掛けた。六脚も付けられているテーブルは大きく、部屋の半分ほどを占めていた。
「これじゃあ、部屋の向かいに行くまでに一手間かかるね」
パソコンは、テーブルと壁の間に配置されていた。光村はその狭い空間にパソコンデスクとチェアを置き、ディスプレイに顔を近づけて何かのゲームをしていた。
窓はその反対方向にあった。松井は、パソコンを日に焼けさせない工夫なのだろうと思った。
他には殆ど何もない。テーブルの上には台布巾や調味料の類すらなく、光村の潔癖具合を伺うことが出来た。
「ちょっと待ってて、あと少しでクエストクリアするから」
返事をすると松井は椅子から立ち上がり、先ほどは通り過ぎたキッチンを見にゆくことにした。いったんリビングを出て、廊下の左手を見る。
これまたずいぶんと小さなキッチンだと松井は思った。一人暮らしだから仕方がないかもしれないが、これではお湯を沸かしながら料理を作ることなど出来ない。なにせコンロが一つしかないのだから。