■場所
なし
■人物
『私』
■状況
私が鬱になって布団に包まっている
■本文
たまらなく寂しい夜。こんな日は、カーテンの向こうに広がる真っ暗な世界を間近に感じ、布団にくるまっていても四方から悪者のささやきが聞こえてくる。
電気を点けていても、そうでなくても変わらない。つかみ所のない冷たい恐怖は音のように伝わってくる。だから、私が体のどこを触っていても、必ずどこかが恐怖に震えている。
見つからない、見つからない。心のよりどころがほしい。自分以外のものなら、誰の温もりでも良い。そばにいて力強く抱きしめて欲しい。そうすればきっと、見えない何かから逃れることが出来る。
でも、誰もいない。気付きたくない事に気付いてしまう。ここには誰もいない。恐怖から守ってくれる者はいない。さっきまで忘れかけていた事を思い出してしまう。
見つからないのではない。存在しないのだ。だから見つかるはずもない。これじゃあ、私がまるで馬鹿のようだ。しかし、ならばどのようにしてこの見えない恐怖から身を守ればよいのだろう。
気づけない。分からない。そうじゃない。
私はいつも想像する。この世にはどれだけの悪が存在しているのかを。きっとそれは私には数えられない程で、でもきちんと私の目の前に現れるのだ。数えられないのなら見えなければ良いのに、今わたしが感じている恐怖とは違って、悪というものはとらえどころのあるものだ。