■場所
教会の聖堂
■人物
『僕』と友達と叔父さんとサンタ
■状況
クリスマス会をしている
■本文
「それでは、キリスト様に黙祷を捧げましょう。アーメン」
治巳(はるみ)叔父さんがそう言うと、皆が一斉に目をつむる。うつむきかげんな顔の前で手を組んで、さっきまでとは違う雰囲気を出し始める。
「ほら、お前もやるんだよ」
隣の席に座っている興国(こうこく)くんが僕のわき腹をつつく。僕は困惑しながらもぎこちない動作で皆と同じようにした。
それから一分くらいが経ったと思う。そろそろじっとしているのに疲れてきた僕が興国くんの顔を横目で見ていると、思いもかけないものを見た。
僕は息を呑み、あと少しで大声を上げるところをどうにかこらえた。訝しげに僕の方を向いた興国くんの顔の向こう、聖堂の廊下を音もなく歩く姿。赤い服を身にまとい、顔には白い豊かなひげが生えている。
それはまさしく、サンタクロースそのものだった。
どうしてそんなものがここにいるのだろう。頭の中が疑問で一杯になった。そもそも今は黙祷中だし、それにサンタクロースのプレゼント配布はもっと後のはず。僕はプレゼントに教会の十字架の掃除を頼んだけれど……って、そんなものは今はどうでも良くて。
こんなんじゃ黙祷に集中できないと考え、僕は思い切って顔を上げた。
「こら、何やってんだよ!」
興国くんが小さな声で怒鳴る。けど、僕は聞いちゃいなかった。それはサンタクロースが気になったというだけではない。さっきサンタクロースを見つけたときよりも、もっとすごい光景があったからだ。
「……ねぇ、興国くんも見てみなよ……」
この頃になると、黙祷をきちんとしていたほかの子たちも周りの異変に気付き始める。一人、また一人と