2007年12月22日


場所

体育館の裏

人物

『僕』と彼女

状況

力のない自分が悔しい僕が、昔を回想する

一言

一昔前のノベルゲーム風にしてみようとした

本文

雪の中。

吹きすさぶ風は、どんな言葉さえも聞き取れなくするほど、強かった。

遠くで叫んでいる彼女の背中。

視界が白く霞み、僕があの手を掴もうともがいても、届かなく。

足がどんどん冷たくなった。

動かそうとしても、言う事をきかない。頬に打ち付ける雪の冷たさが体中を覆った。

いつまで目を開けていられたのだろう。気付いたら、僕は前を見ていなかった。

僕は自分の手を見ていた。うつむいて、雪の地面に両手をついて。

寒かった。でも、僕は頑張れるはずだった。

遠くへ行ってしまう彼女を救えるはずだった。

それなのに、何も出来ないまま、自分の手を見ていた。

動かない手、外の世界の寒さに負けてしまった手。

それは僕自身を表していた。

昔の僕は、一度転んだら起き上がれなかった。心の中に引きこもり、他の誰とも遊ぼうとしなかった。

まるで動かない僕は、自分に興味を示す人なんていないと思っていた。

彼女が現れるまでは。

体育館の裏。いつものようにふさぎこんでいた僕は、視界の端に動くものを見つけた。

ゆっくりと顔を上げると、動く影は体育館の外壁の隙間に隠れた。

不審に思いそこをのぞくと、見たことのない顔があった。

初めは気恥ずかしそうに顔を背けていたが、僕がしゃくりあげるのを見た途端にこっちを向いて言った。

「どうしてないているの?」

僕はびっくりした。今までに、そんな事を聞いてくる子は一人もいなかった。

だから、どうやって返事をしたら良いのか分からなかった。

「……どうして、ないてるの?」

もう一度聞かれた。

「……もしかして、いじめられたの? そうなの?」

不穏な空気が流れ出した。僕は何をしたら良いか分からず、いつの間にか彼女に向かって頷いてしまっていた。

「わかった。そんな意地悪なやつはあたしがやっつけてやるわ!」

力強く肩を叩かれてから、僕は自分のしたことに気付いた。

やっつけるだなんてとんでもない。そんな事をしたらもっといじめられてしまう。

僕は焦った。彼女は既にずんずんと歩き出していた。急いで追いかけてとめなくてはならない。

しかし、事はそんなに単純ではなかった。