2007年12月28日


場所

怪しげな館

人物

館に招かれた客達

状況

部屋に危機が訪れる

本文

部屋の隅に所々開いている穴から、次々に虫が涌いていた。一匹や二匹なら聞こえるはずのないそれらの足音が、静かな部屋に響いている。

目の前で起こっているそんな出来事に、鉄夫はどうすることもできないでいた。机の上にのぼり、少しでも虫達との距離を離そうとするが、それもあと少しで無駄な行為になりそうだった。

と、突然どこかから人の叫び声が聞こえた。続いてもう一度、さらにもう一度。それは、鉄夫以外の宿泊客の声だと思われた。

鉄夫は彼らの身にも自分と同じ事が起こっているのだと予想した。しかし、だからどうしたと言うのだろう。他の人の様子が知れたところで、鉄夫の周りの状況が変わるはずもない。相変わらず、黒い小さな点達が、ざわりざわりと寄ってくる。

鉄夫は頭を振って、現実から逃げようとする自分を追い払った。確かに子の状況はどうしようもないかも知れない。しかし、逃げてはいけない。生きるのを諦めてはいけないのだ。

目を見開いて、鉄夫は行動に出た。机の上を虫達が入ってくる方向とは逆に移動し、まだ虫が張り付いていない椅子を持ち上げた。最悪の場合、机にいすを重ねて乗せ、高さを確保することで考える時間を捻出できるとかんがえたのだった。

気付けば、虫達はとうとう窓の隙間からも入ってくるようになった。