2007年9月12日


場所

良く分からない場所

人物

少年一人

状況

少年を何者かが追いかけている

本文

「はあっ、はあっ」

道行く人を避けながら、一人の少年が息を切らして走っていた。時々うしろを振り返りながら、少年は道の左右に視線をめぐらせていた。この辺りは工業の盛んな場所で、外壁のつるつるした大きな工場ばかりが立ち並んでいた。

やがて一つの建物に目を付けた少年は意を決したかのようにその外壁の一部――そこだけつるつるのパネルがへこんでいる――に駆け寄り、身をよじらせて壁の隙間に入り込んでいった。

それから数瞬の後。けたたましく革靴の音を立てて、黒服の男達が五人現れた。彼らはいかにも危ない組織に属しているような表情をしていて、今にも人を殺しそうな雰囲気をまとっていた。

「……はあっ、はあっ、おい、まさか見失ったとかじゃないよなぁ?」

黒服の一人が誰にともなく言葉を吐き捨てた。周りの黒服は同じように肩で息をしていたが、その疑問の言葉に対して誰も答えられなかった。

「くそう! なんでこんな見通しの良い場所で小僧を見失うんだ!」

別の黒服が同じく誰にともなく吐き捨てた。それからまた別の黒服がポケットから何かを取り出し、それに向かって何か言ったあと、彼らはそろって歩き始めた。どうやら彼らは先ほど工場の隙間にもぐりこんだ少年を探しているようだった。

そのころ少年は、既に工場に入り込んでいた。あの隙間は曲がりくねっており複雑で、よじりながら進む少年の心を不安にさせるものだったが、幾つかのくびれを乗り越えると