2007年9月15日


場所

高速道路

人物

『私』

状況

亡くした人を思い出す女の人

本文

一瞬にして通過してゆく光の筋。それらがたくさん流れている。昼間のように明るい道路が閑散とすることはなく、常に何台もの自動車が走り、音をたてている。

左右はフェンスに囲まれている。天に広がる星空は、こんな場所では姿を見せない。もしこの場所に人が取り残されたとすれば、周りの状況の非人間性に精神が打ちのめされて、そのうち自ら車に飛び込んでしまうかもしれない。

高速道路とはそういう場所なのだと思う。不断は自分が車の中にいて気付かないが、恐らく、一旦生身の体で飛び出してみれば、まるで人の立ち入る隙を与えないほどの殺気が感じられるはずだ。金属の空間に漂う危険な香り。人間には感じられないほど冷たい香り。

ああ、それはなんて悲しいのだろうか。

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私はいつものように、歪んだガードレールに花を供える。菊の花と、あいつが好きだったマリーゴールドの花だ。好きだったといってもあいつはあまり花の名前を知らず、数少ない判別できる花の中でもまぁまぁ好きだったという程度だ。その代わり、あいつはバイクがとことん好きで、暇があれば常に部品やらタイヤやらを弄くっていた。

それが、こんな事になるなんて――。ガードレールのへこんでいる部分を指でなぞると、そこから何かが分かる気がした。ため息をついて、立ち上がる。空は青く晴れて、今にも世界が笑顔で満たされるような心地だ。でも実際は、理不尽に命を落とす人が世界には大勢いるはずだ。だから、そんな空の青さは私にはそらぞらしくしか感じられない。

いつの日かあいつは言った。俺にはパーツの気持ちが分かるんだぜ――。そんなばかなと思った。