2007年9月18日


場所

通学路

人物

『私』

状況

流れる雲を見ている

本文

雲。

学校へ向かう道を歩いていた。昨日いっぱい降り続いた雨は既に止み、休日の昼下がりはすがすがしい陽気だった。道の左右に迫った建物も湿り気を帯び、アスファルトの地面もどこかやわらかい気がする。

いつもとは違う服装で。

代わり映えのない風景さえも、状況によっては輝かしいものになる。建物の密集地を過ぎて、今度は田畑が遠くに見える。所々に生えている鉄塔が水を湛えた田んぼの中心にあるのは、どこか滑稽だと思う。アスファルトは砂利道になり、私の隣を自転車が走ってゆく。雨上がりの空気のにおい、湿っているはずなのにどこかパリッと乾いているにおいがした。

やがて、雲に隠れていた太陽が現れた。黒く染まる影がいたるところに伸びて、もし空高くから地面を眺めたら、きっと牛の白黒模様みたいな地面が見えるのだ。でもそれは、固定された模様ではない。太陽と、私たちによって様々な形になる。

こういうときに私は、自分がまさに世界の一部になっているのだと自覚する。不断はまるで他の人と代わり映えのない生活を送っているけれども、休日は外に出て、一つ深呼吸をするんだ。たったそれだけで生き返るような気分になり、散歩に出掛けるなら飛び回れるような気分になる。もちろんそれは、気持ちの良い晴天の日でないといけない。

砂利道は再度、舗装される。水溜りの停止線をまたいで、『停まれ』の看板に軽く触れる。私は背が高いので、背伸びしなくても看板には触れる。毎日伊達にバスケばかりしているわけではないのだ。指が少し濡れて、私はそのつゆを手で払った。

雲が流れている。いつも見る雲よりも速く、ダイナミックに(?)空を駆け抜ける。日光を浴びている側の色と、そうでない場所の色とのコントラストが青い。深く深く同調しているみたいに、空と雲は浮かんでいた。

「あれ、あ、秋山じゃんか。どうしたん?」

切れのある埼玉弁――そんなものはない――で背後から声がした。気分のいい私が手を腰のうしろで組んだまま振り返ると、犬の散歩をしている男の子がいた。身長は私よりも二回りくらい小さいが、声は大きかった。

「あれぇ、田中君どうしたの? 可愛い犬だね」

風が、私たちの間を通り抜け