■場所
田舎
■人物
お父さんと『私』
■状況
引越しした次の日くらい
■本文
まるで太陽が爆発でもしたかのような日差。至るところで蝉の鳴き声がワンワン響いている。
辺りの木々が作り出す日陰は近所の子供達に大人気のようで、滑らかに進んでゆく景色の所々では、そういった集団が何か虫取りのような事をしていた。真っ白に光る雲や輝く地面とは対照的な黒い影が、みずみずしい涼しさを表しているようだった。
「や、そろそろ家に着くぞお」
運転席に座ったお父さんが分かりきった事を言う。それじゃあまるで、私が昨日一日で家の周辺の地理を覚えられなかったみたいに聞こえる。
「うん、大丈夫」
私は横を向いて、お父さんに適当に答えた。
やがて、窓の外の風景は速度を落とし、子供達の姿もなくなった。周りの木々はだんだんと密度を増して、車一台が何とか通れる位の狭い道に入った。砂利道がひどくなり、振動によって額をぶつけてしまうので、窓から顔を離す。ががん、ががんという鈍い音が頭を支配する。一瞬、これからどこへ行くのかが分からなくなる。
しかし、それも一瞬のこと。すぐに不安な道は終わり、日差の気配が漂い始める。木々がひらけて、そこかしこに緑の光が溢れてくる。景色は旋廻し、