2007年9月21日


場所

校庭

人物

子供達が大勢

状況

鬼ごっこ

本文

 平らな校庭の中心で子供達の大きな声がする。それは校庭の端の方まで届き、何人かの子供が自分の行動をストップさせてそちらを見た。その何人かの子供は次の瞬間、集まっていた子供達が一斉に散らばっていくのを見た。そして、最後には地面にうずくまっている一人が残った。

 これは、いじめだろうか。周りに居た子供達が中心の一人を痛めつけ、誰かに見つかりそうになったから逃げたのだろうか。それとも、仲間はずれだろうか。小学生くらいの子供には、わざと誰かを独りぼっちにして反応を楽しむという趣味を持った者もいる。

 しかし、実はそうではなかった。

「……きゅーう、じゅう!」

 飛び上がり、最後に残った一人も走り出した。脱兎のように急いでいるが、その顔はやけに楽しそうで、狩られる側というよりかは狩る側の顔をしていた。

 初めからそこまではわずか数秒。声に振り向いた別の子供達は彼らが遊んでいるんだと気付き、自分の作業に戻った。あるものは土遊び、あるものは鉄棒、あるものはジャングルジム鬼に戻り、彼らのことは気に留めなかった。大抵、別にどうでも良い事を目にした人間は、すぐにそれを忘れてしまうものだ。

 さて、子供達の集団が散らばってから中心の一人が走り出すまで数秒。ということは、多くの子供達がまだ校庭の中に居る。中心の一人――以降は鬼と呼ぼう――との距離は確実にあるが、見通しの良いこの場所ではどこに逃げようとも鬼に分かってしまう。つまり、一人に的を絞らせてはいけないのだ。

 逃げた集団――以降は蜘蛛と呼ぼう――もそれくらい分かっている。これまでに培った経験から、殆どの蜘蛛はジグザグに走り、鬼の照準を定めまいとしていた。

 残りの蜘蛛はしかしそうではなかった。初めてこの遊びに参加したのだろうか。二人の蜘蛛が周りから孤立し、真っ直ぐに体育館の方角へ向かっていた。鬼はそちらへ照準を定めた。

 蜘蛛の息があがり始めた。なれない事をしているのか、鬼との