■場所
どこかの運動場
■人物
空を飛びたいお年頃の男の子
■状況
今日は飛べるかな?
■本文
力強く地をけって速度を付ける。空翔ける鳥の気持ちで飛び出した――。
どぐし、という生々しい音が聞こえた。僕は土の付いた顔を上げ、自分がまだ地面の上にいる事を確認する。ああ、今日もまた失敗してしまった。
人気の無い総合運動場は町の外れに位置していた。テニスコートに野球場、陸上のコースなどが設置されているこの場所は、季節の行事や地元のハンドボール大会などがなければ賑わうことがない。それなりに作られている設備やらしっかりと舗装された通路やらは、自分達が活躍できないせいか少しくすんでいた。
立ち上がり服の汚れを少しはたくと、僕はそれでも自分が意外と遠くまで跳べたことに気付く。本当はいつもと同じ、遠くといっても気持ち遠いというだけの場所にいたのに。