■場所
大学のキャンパス
■人物
男子学生の集団
■状況
今まで男子校にいた男が、女性のいる大学構内で興奮した口調で語る的な
■本文
キャンパスを歩く華麗な花々。春の風に運ばれ、その香りがかすかに俺の所に漂うのはなんとも言い難くすばらしい限り。
男子校という地底の暗闇に迷い込み三年という長い長い年月を、男の友情という熱かったりむさかったりするものを育むことで過ごしてきた。暑かった夏の授業、寒くなかった冬の授業。そんな中で俺は勉学にいそしみ、来る今日の日のために机にかじりついてまで苦手な国語を頑張った。今ではもう遠い遠い彼方の思い出の出来事。
そう、今、俺はここにいる。広い大学のキャンパス、吹き抜けるすがすがしい風、そして花の女子大生。
俺は、自由だーーーーーーー!
「なにやってんだ、さっさと学科のガイダンス受けに行くぞ」
天に握り拳を突き上げて気合いを入れていた俺を無視して、高山(こうやま)がすたすたと歩いていく。
「ちょっと、待てって。お前は嬉しくないのか? 今までの生活を思い出さないのか?」
手を伸ばして同意を求めるが、高山はいっこうに振り返る素振りを見せない。俺は反応を諦めてそのあとに付いて歩いた。
「なぁ、今まで俺達が触れることなかった花々がいっぱい咲いてるんだぜ」
「花々って……、喩えがダサイお前らしいな」
俺が高山の耳元でささやいても、あまり嬉しくない様子。