2008年3月30日


状況

電子書籍の端末を買った

一言

電子書籍の技術が後十年でどうたらこうたら言っていますが、私(未体験さんまは)は実は普及などしないと考えております

本文

昨日、ついに電子書籍の端末を買った。電車の中でそれを友達に話したら、そんなもの必要ないじゃんと一蹴された。

「いやま、お前には必要ないかもしれないけどさ」

俺が言葉を継いでも、友達は電子書籍の見づらさだのバッテリの持ち難さだのを指摘して止まなかった。

しょうがないので鞄から端末を取り出し、電源を付けてそいつに見せた。すると、今まで眉をしかめていたのが嘘のように、目を見開いて端末の画面に見入ってしまった。

「へ? これって液晶じゃないの?」

「そうだよ、液晶じゃないよ。だって、液晶のまま本なんか見たら目が痛くなっちまうだろ?」

なんと、友達は電子書籍について何も知らなかったらしい。それなのに大した文句を並べ立てられるのだから、良い御身分だなと俺は言いたくなった。

「それに、これはただ画面を表示するだけなら電気を食わないんだぜ?」

「まじで!? すげぇ、まさかここまでだとは思ってなかった……」

口を押さえて感嘆をもらす友達は、興味深げに端末を眺めた。調子に乗った俺は、その端末に昨日入れておいた小説を表示してみせた。端末の表示領域はSVGAで、同時表示色は四段階グレースケールだったが、友達はやはりその緻密な表示に関心を持ったようだ。

「へぇ……、これって、いくらしたん?」

「聞いて驚け、……三万だ」

「かぁ、高えなぁ。それだったらラノベが……五十冊は買えるじゃねぇか」

「当たり前じゃんか。ていうか、これでも安いほうだと思うぞ、この技術は」

それ以降は先ほどまでの関心が何処かへ流されてしまったかのように、友達が端末について話すことはなかった。

それはもちろん、これが高い買い物だというのは自覚している。そこまでして得られるものが大きいとも思っていない。しかし、新しいテクノロジーに手を出すのはだ、なるべく早いほうがいいと俺は思っているのだ。

今に見ていろと思った。きっと、電子書籍の端末は、あと十年で飛躍的に普及するはずだ。そうなったら否が応でもこの端末を使用せざるを得なくなる。

その時になってから慣れようとしても遅い。十年後、俺達は現役の会社員になっている。情報の取得が何よりも重視される世界で、どっちがアドバンテージを取れるだろうか。

……なんて、柄にもない事を考えてしまった。そんなつもりは毛頭ない。十年後の事を考えられるような人間なら、今頃はこんな電車の中にはいないだろう。ヘリか車かに乗って、頭の良い人間だけが行ける高校にでも通っているはずだ。

だから、この端末は俺にとってはただのお遊び。パソコンを買う金も無く、かといって一万円では面白いものが買えなかった俺が選んだ体良いおもちゃ。